経済情報に特化したニュース共有サービスNewsPicksにて1月31日発売する落合陽一氏著書の日本再興戦略(NewsPicks Book) の「はじめに」が掲載されていたのでそれをもとに日本再興戦略についてまとめます。
落合陽一がなぜ「日本再興戦略」を語るのか?
落合陽一氏は普段から、国立大学法人で教育に携わり、自分の会社を経営し、アーティストとして芸術作品を生み出し、国際会議や論文誌で研究発表をしたりなど幅広く活動しています。
プロダクト作りに関わるテクノロジーとデザインに詳しい人間は、日本に落合氏を含め数人程度しかいないため、その目線から新しい戦略を日本国民に伝えることが義務だとおっしゃっています。
各分野の専門家はもちろんいますが、教育、研究、経営、アート、ものづくりをすべてやっている人はどう考えてもレアキャラです。
そして、教育・研究・経営・アートのすべてに影響を与えるのがテクノロジーです。第5世代移動通信システムであるAI、AR、VR、5G、そしてブロックチェーンなどのテクノロジーはこれから世界を大きく変えていきます。日本再興戦略を描くにはこれらのテクノロジーの本質を理解しないといけません。
落合陽一の日本再興戦略
日本再興戦略において、まず大事なことは「過去において日本は根本的に何がすごかったのか、何がすごくなかったのか」について我々の常識を更新しながら考えることです。
過去のすごかった成長戦略の例を挙げるとマイホームとローンです。
どこがなぜすごいかというと、最初に頭金を払った後に、数十年間もお金を払い続けるという形で、家計から自動的に所得が差し引かれる仕組みをつくり出したからです。これは、金融の「仕組み」として「すごい」ものです。
明治時代以降にわれわれが手本にしたのは、いわゆる欧米型といわれる欧州型と米国型でした。
明治維新では、主に欧州型を手本にして、1945年以降は、米国主導で、戦勝国型を手本にして国をつくってきました。この欧州型と米国型が合わさって、「欧米」という概念になったわけですが、それをもう一度見直してみるのも『日本再興戦略』の趣旨です。
欧州と米国の2つってそもそも国が違いますし文化も国家も全く別物ですよね。その全く異なる国をを日本が「欧米」という言葉で一緒にしてしまったことを見直さなけばいけないということですね。
そして、再興するために何よりも重要なことが
「意識改革」
今の日本人の意識は「日本はイノベーティブじゃない」「一人当たりの生産性が低い」といったように相当ネガティブです。
従来の日本の教育は
・人に言われたことをやるのに特化(新しいことを始めるのには特化していない)
・均一な教育を受けている
一見、悪そうに見えるのですが、これはむしろ良かった教育なんです。この教育の方が近代的鉱業生産社会で優位に立てたんです。これまでのシステムは大量生産型の工業社会で車を作ったり、テレビを作ったりには向いていました。均一な教育を受けていたおかげで何も言わずとも足並みがそろう。この方がその時の時代背景には向いていたんです。
ところが現代では工場がほとんど機械知能化されています。
車作りにぴったりだった日本の教育が時代に合わなくなっているわけです
高度経済成長期においては、いい戦略だったものの、今の状況でこの戦略を続けていくと、日本人一人当たりの生産性はどんどん下がっていきます。
このまま高度経済成長モデルに拘泥し、「欧米」という幻想を追い続けていては、日本は再興できません。しかし、意識改革を行い、正しい戦略にのっとって動けば、日本を再興することは難しくありません。我々はいつの時代もそれを行ってきたのです。明治にも昭和にも。そして、次の元号の変化にも合わせてやり切らないといけないことでしょう。僕の座右の銘は「変わり続けることを変えず、作り続けることをやめない」ですが、最近気に入っているフレーズがあります。「指数関数的成長にとって、全ての点は、いつでも始まったばかりだ」というフレーズです。人口減少は人類史上稀有な大チャンスです。テクノロジーを活用し、西洋的人間観を更新し、我々が今まで刷り込まれた知識をポジティブに更新し、みなで行動していけば、日本の未来はきっと明るく、そして特筆的なグランドデザインとなるでしょう。我々の世代の次の一手で、この長きに亘る停滞は終わり、戦況は好転する。僕はそう確信しています。今ここが「始まったばかり」なのです。
これは日本人とって必読となる書籍となるでしょうね。
発売日は1月31日です(ブログ更新日発売中)。